ごあいさつ

1 センターの開設

平成29年6月1日、岩手県医師会館内に「在宅医療支援センター」の看板が故石川育成名誉会長、八重樫幸治岩手県保健福祉部長により掲げられ、医師会と県とのパートナーシップによる「在宅医療体制支援事業」をスタートしました。国は、平成26年6月に医療介護総合確保推進法を成立させ、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据えて、高齢者が住み慣れた地域で医療と介護を一体的に受けられる地域包括ケアを打ち出しましたが、在宅医療はその中心と位置付けられています。広い面積を持つ岩手の課題は、各地域の医療資源及び在宅医療への取り組みに濃淡があること。県医師会ではこのセンターを通じて郡市医師会と連携し、各地域の在宅医を支援していきたいと考えています。

2 待機支援事業の実施

事業のモデル地域として奥州市、金ヶ崎町をエリアとする胆江地域を選定しました。在宅医療に熱心な県立病院、国保病院、民間病院があり、これらの病院からの支援が期待されるからです。支援スキームは在宅医が学会や休暇などで留守にする場合、支援病院が代診医の派遣や急患の入院受け入れなどのバックアップを行うというものです。

また、令和3年4月1日より、北上市、西和賀町を対象とした、北上地区においても当該事業を実施する運びとなりました。北上地区では、在宅医療を行っている診療所を中心に、連携する支援医療機関の医師が、患者の急変時の往診等を行うことができる待機体制を取ることに対し支援しようとするものです。

3 人生最終段階の医療をかかりつけ医とともに考える委員会の設置

 在宅医療を進めていったとき、本人の最終段階での生き方、受けたい医療、ケアを確認し、みんなでそれを共有し、その目標に向かって実現させてあげることが重要です。地域の皆様の最終段階における治療とケアについて、かかりつけ医が果たすべき役割を検討するため、平成30年7月に「人生最終段階の医療をかかりつけ医とともに考える委員会」を設置しました。現在、岩手ならではの方法を生み出すべく「県民に対する啓発」「在宅医療・救急医療・介護連携」「医療従事者研修」の3小委員会を設置しており、令和元年度より、各小委員会の開催、県民会議の開催、県民公開講座の開催、ACPツールの作成等具体的な事業を展開しております。

4 岩手県医師会版ACP「わたしの生きるノート」

 第一歩として当委員会では平成30年12月にACP(アドバンス・ケア・プランニング)の主要ツールとなる“わたしの「生きる」ノート”を作成しました。その後、令和元年度事業の取組みの中で検討を進め、令和2年4月にこのノートの改訂版を作成しました。また、医療・介護従事者の皆様が、実際にこのノートを使用する際の留意点や説明の仕方などを記載した“サポートブック”を併せて作成したところです。このホームページからダウンロードができますので、ご興味のある方はご覧になってください。

一般社団法人岩手県医師会
在宅医療支援センター長
岩手県医師会長
本間 博