
2022年は新型コロナウイルス感染症の第7波で夏にかけて感染が急増し、秋には第8波の局面に入りました。スタッフやその家族が陽性となり、スタッフ不足で受け入れ医療機関の対応が困難な状況となりました。病棟を閉鎖せざるを得なくなった病院も少なからずあり、一般医療にも影響が出ましたが、連休中の発熱外来を増やす等、各医療機関には奮闘していただきました。
2023年もコロナ対応が大きな柱です。スムーズなワクチン接種体制の確保を進め、自治体の集団接種の支援を担う医師や看護師を確保し、粘り強く対応していきます。一方、感染状況を見ながら、患者が事前に家族や医師と終末期医療について話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」等の重点事業も再開します。高齢者施設でもその取組が広がってきました。本年は県民公開講座を予定しています。高齢化社会を迎え、地域包括ケアの重要性は増しています。
医師の働き方改革への対応も重要な課題です。本県は人口当たりの医師数が極端に少ない医療過疎県です。全国一律の時間外労働規制では、大学や基幹病院からの医師派遣が困難になり、地域医療に影響が出る恐れがあります。国や自治体等に現状を理解していただくよう、働きかけていきます。
岩手県行政と岩手医科大学、岩手県医師会の連携の強さが本県の特長です。東日本大震災の対応等で信頼関係が醸成されてきました。今年も行政、関連団体、県民の皆様と協力し「県民の安全と安心を守る」を最大の使命として全力で取り組んでまいります。
2023年1月
一般社団法人岩手県医師会
会長 本間 博