県民のための健康増進情報/産婦人科領域

 

避妊法

望まない妊娠を避けるために

 

 今まで考案された避妊法はかなりの種類があり、そのいずれも一長一短がある。一般に避妊法の知識は週刊雑誌等から入手しているカップルが多く、あやまった知識や誤解が多い。このぺ一ジでは避妊法の種類、主な避妊法の特徴、その選択について及び避妊効果(失敗率)について述べる。それぞれの避妊法の実際は産婦人科のかかりつけ医に相談して頂きたい。

1.避妊法の種類

A.女性が利用する方法

・性周期を利用する方法
オギノ式避妊法、基礎体温法

・殺精子剤を用いる方法

(錠剤、ゼリー、フィルム)

・バリアーを利用する方法

ペッサリー法、女性用コンドーム法

・子宮内避妊器具(IUD)法

・経口避妊薬(ピル)

B.男性が利用する方法

・膣外射精法、コンドーム法

C.永久避妊法

・卵管結紮法、精管結紮法

 

 

2.主な避妊法の特徴

1)オギノ式避妊法

 この方法は周期的禁欲法、周期法とも言われている。本法は荻野火作博士の排卵および受胎期に関する学説を基本として考案された。すなわち、次回月経開始前12日から16日の排卵期に、精子受精能力の保有期間3日を加えた8日間を受胎期(危険期)として過去の月経周期より算出するものである。

[長所]

1.なんらの器具・薬品を必要としない。2.自然の性交が行える。3.副作用も後遺症もない。4.きわめて経済的である。

[短所]

1.理解がやや困難である。2.次回月経を基準にしているので不安定である。3.少なくとも半年から一年の準備期間が必要である。4.月経不順のものは利用できない。

2)基礎体温法

 健康な女性の基礎体温は、月経周期に伴って変化する。月経中とその後しばらく比較的低い体温が続く(低温相)。その後体温の高い時期か続く(高温相)。そして低温相の最後の日に排卵があり、排卵後高温相が有り体温が下がると月経が始まる。避妊に利用する場合、高温相になって4日目からが安全となる。

3.殺精子剤を用いる方法

 避妊の目的で腟内に薬剤を挿入する方法である。広く使用されて要る殺精子剤には3種類のものがある。

 

 ●殺精子剤の種類と特徴

錠剤

ゼリー

フィルム

長所

  • 目立たない
  • 比較的性感を損ねない。ときには温感が性感を助長する
  • 後始末の必要がない
  • 挿入法が簡単
  • 注入直後から有効
  • 腟内をなめらかにし性感を助長することがある
  • ペッサリーやコンドームに塗って用いるという万法にも使える
  • 男性の協力をあまり必要としない
  • 錠剤・ゼリーに比べると流れ出にくい
  • 簡便である

短所

  • 溶解に時間を要するので、その前に射精が起きると失敗する
  • 体位によっては流出してしまう
  • 性交時間が長い(30分以上)場合、泡が消失してしまい追加しなければならない場合がある
  • 女性側の分泌物が少ないときは溶けにくい
  • 男性が熱感を感することがある
  • まれに過敏症を起こす
  • 注入器を用いるため目立つ
  • 後で注入器を洗わねばならない
  • 体位により流出する
  • 翌朝など残っていたゼリーが流れ出て不快に感しる者もいる
  • まれに過敏症を起こす
  • 素早く挿入しないと腟の入口付近で溶けてしまう
  • 指を引き出す際にフィルムも一緒に出てくることがあるので、挿入には慣れることが必要である

4.ペッサリー法

 精子が子宮口に入るのを器械的に防ぐ方法である。

[長所]

1.男女とも性感に影響がない。2.男性の協力なしで女性が主体的に実行できる。

[短所]

1.産婦人科医または助産婦(受胎調節実地指導員)の診察を受け、あらかじめペッサリーのサイズを測定し、挿入方法について十分練習しておく必要がある。練習が不十分な場合、うまく装着できなっかったり、性交の途中でずれるおそれがある。

5.子宮内避妊器具(IUD)

 子宮腔内に小さなプラスティックや金属性の器具を挿入して避妊を行うものである。わが国では以前からその形からリングと呼ばれていた。

[長所]

1.毎回の避妊の手間が不要。2.避妊効果が高い。3.女性の意志で使用することができる。4.比較的安価である。

[短所]

1.自然脱落することがある。2.下腹痛、腰痛などの疼痛を訴えることが有る。3.異常出血をみることがある。4.骨盤内感染症を起こすことがある。

6.経口避妊薬(ピル)

 性ステロイドホルモンによる排卵の抑制を利用した方法である。ピルは開発以来著しい進歩、改良を遂げた。すなわち、性ステロイドホルモンの質的な進展とホルモン量そのものの減量である。その結果低用量ピルが開発された。わが国で現在使用されているピルは治療用の中・高用量のものを用いている。早い時期の低用量ビルの認可か待たれる。
 副作用としては、胃腸障害(悪心・嘔吐・食欲不振)、頭痛、体重増加、不正出血、血栓症、発がん性などが知られている。
 ピルは避妊効果のほかに副効用として月経痛ないし月経困難症の改善、月経周期の整調化、骨盤内炎症性疾患の予防、がん発生の予防とくに卵巣がんと子宮内膜がんについては減少するとの報告が多い。

7.コンドーム法

 わが国での避妊法としてもっとも広く普及し、利用率も高く、最近ではエイズ感染予防のキャンペーンにも登場して、その知名度は著しく高い。

[長所]

1.入手が容易であり、手軽である。2.医学的管理を必要しない。3.適切に使用すれぱ、高い避妊効果が得られる。3.副作用がない。4.性感染症の予防に有効である。5.比較的安価である。

[短所]

1.性交が不自然になる。2.心理的・身体的にバリアが生じる。3.精液が漏れることがある。

8.腟外射精法(性交中絶法)

 避妊の歴史の中でもっとも古い避妊法の一つである。

[長所]

1.器具・薬品を必要としない。2.費用がかからない。

[短所]

1.きわめて不自然である。2.情緒的・心理的に不満を感じる。3.強い自制心を必要とする。4.不感症になって有害となることがある。4.射精前でも、自覚しなくてもすでに精子が漏出している場合もある。

 

3.避妊方法の選択と条件
条件 \ 方法

コンドーム

錠剤

ゼリー

ペッサリー

オギノ式

基礎体温

IUD

ピル

夫があまり協カしない

×
×
×

妻が消極的

×
×
×

月経不順

×

産後無月経

×
×

早漏ぎみ

×

妻の分泌物が少ない

×

子宮位置異常

×

妻が高年齢

×

結婚直後

×

性交時間が長い

異常体位

×
×

寝室に子どもなどがいる

×

金をかけたくない

×
×

よく酔っぱらう夫

×
×
×

軽度の子宮腟部びらん

×
×
×
○......適している ×......適していない △......やや適している

 

4.各種避妊法の避妊効果

 避妊法の効果を評価するのは容易ではなく、年齢・性交日・教育水準.避妊動機・避妊法の実行法などに影響される。ここでは、アメリカの食品医薬品局(FDA)の資料を示す。避妊の確実性は経口避妊薬の妊娠率1に対してコンドームは20ないし120倍の大きな差のあることが報告されている。そこでわが国でも、ピルの使用により、望まない妊娠の確実な減少が期待される。

各種避妊法の避妊効果

100人の女性が使用1年目で何人妊娠するか

経口避妊薬(ピル)  0.1人
不妊手術(男性)   0.1人
不妊手術(女性)   0.2人
IUD        1.0人
コンドーム      2〜12人
オギノ式       2〜20人
殺精子剤       3〜21人

 

5.緊急避妊法

 避妊しなかったり、避妊に失敗した際、それに引き続いて起こる危険性の高い妊娠を回避するための避妊法である。最も広く使用されている緊急避妊法は、無防備な性交後72時間以内に経口避妊薬を服用するものである。