県民のための健康増進情報/内科領域

 

下血(血便や黒色便)

 

 下血とは、便に血液が混じる場合で、食道や胃などいわゆる上部消化管より血液が出た場合は、黒っぽい便(黒色便)となり、小腸や大腸など下部消化管より出血した場合は、赤い便(血便)となることが多いです。考えられる病気をお話しします。

1)痔からの出血:出血の色が鮮やかです。下痢や腹痛、発熱などを伴わず、肛門の痛みや肛門の違和感を伴います。排便してから出血する場合は疑います。診断は直腸診(肛門に指を入れる検査)やカメラ検査で比較的容易に診断出来ます。治療は軟膏や座薬など内科的に治療する場合と手術する場合があります。

2)大腸ポリープ、早期大腸癌:無症状で少量の血便の場合が多いです。従って、健康診断で指摘されることが多いです。診断は内視鏡カメラで組織を採ってきて診断します。治療は内視鏡で採ってくる場合と(特にポリープ)手術の場合があります。

3)進行大腸癌:血便は痔の出血の場合と違い、便に粘液と一緒に付着している場合が多いです。便秘と下痢が交互に出現したりします。中〜大量の出血が続けておこります。診断は内視鏡カメラで組織を採ってきて診断します。治療は手術が基本ですが、直腸癌で肛門に近い場合人工肛門を造らなけれぱならなくなる場合もあります。

4)炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎、クローン病

 潰瘍性大腸炎は30歳以下の若い人に多い病気で、原因は不明ですが自己免疫異常や心理的要因とも言われています。その名の通り、大腸に潰瘍が多発し、慢性の粘液の混じった血性の下痢が続きます。腹痛はあまり起こりません。クローン病も主に若い人に起こる原因不明の病気です。潰瘍性大腸炎と違い、小腸、大腸どこにでも起こり得ますし、通常は腹痛を伴う慢性の下痢が主体で血便はあまりおこりません。腸に肉芽腫といって、小さいポリープの様なでこぼこが多発します。どちらも診断は大腸内視鏡によります。治療は、免疫抑制剤やステロイドホルモンを使用しますが、重症の場合、腸を切ったり、点滴のみで食事が出来ない場合もあります。消化器内科専門医の管理が必要です。

5)偽膜性腸炎:抗生剤の治療中(ほとんどは入院中)、菌交代現象(使っている抗生剤に効かない菌が増えること)がおこり、そのため激しい下痢、血便(トマトジュースのような)、発熱、腹痛などが起こることがあり、これを偽膜性腸炎と言います。この場合は、輸血や、補液など治療が厄介となります。

6)虚血性大腸炎:大腸の血管が詰まったり、狭〈なりおこる病気です。老人で、動脈硬化や糖尿病を患っている人に多く、急に血便が出て、腹痛は左側に多く発症します。診断はレントゲン検査や時に内視鏡によりますが、診断は簡単ではなく、手術をして確認し、詰まった部分があれば切り取る外科手術も行います。

7)大腸憩室症:大腸の壁が袋状に飛び出して、小さな部屋が出来る病気です。一個の場合もあれば、たくさん出来る場合もあります。高齢者に多い病気ですが、一般的には無症状です。しかしその部屋に腸の内容物が貯まって炎症を起こして出血する場合があります。この場合粘液や膿のいた付いた血便になります。あまりひどい出血になることはまれです。内視鏡検査や注腸検査(お尻よりバリウムを入れ腸を造影する)により診断します。

 

 緊急性を要する疾患は4)偽膜性腸炎や5)虚血性大腸炎などがありますが、出血量が多い場合や何回も繰り返す場合はすぐに医療機関を受診しましょう。受診すべき診療科は、消化器科、内科です。

(1999.3.19)