県民のための健康増進情報/小児科領域
赤ちゃんの嘔吐
乳幼児は大人に比べて胃腸の働きや形が未熟ですので一般に吐きやすいものです。かぜをひいて熱が出たり、咳をしたりしてもよく吐きます。また、泣いたり車に酔ったりしてもよく吐きます。
しかし嘔吐は子供にとっても大変不快な症状であり、またそれだけではなく体の変調を示す重要なサインでもあります。とくに重い消化器疾患や脳や脳膜などの病気さらには色々な代謝性疾患などの初期症状として見られますので放っておかないで至急かかりつけの先生に診てもらってください。
嘔吐は年齢によってその原因となる病気が多少異なりますので、ここでは赤ちゃんが吐く場合について申し上げます。
1〜2ヵ月の赤ちゃんがお乳を飲んだ後、機嫌が良いのにお乳を口から出すことがありますが、これは多くの場合溢乳といって吐乳、吐くこととは異なるものです。
哺乳のときに空気を一緒に飲み込んだりして口から溢れてしまうものです。哺乳のあとすぐに寝かせないでしばらく抱いて落ち着いてから静かに寝かせてください。しかし噴水状にいきおい良く吐き出す場合には幽門狭窄や消化管の通過障害など放っておけない病気が考えられます。直ちに小児科の先生に診てもらってください。
また、乳児で突然激しく泣いて嘔吐するものに「腸重積症」という病気があります。これは腸閉塞と同じ様な症状が急に現れはげしい腹痛、瀕回の嘔吐があり、時に黄色い胆汁を混ずることもあります。また、重要な症状として便に血液が混じってきますのでおむつを広げて良く観察し、また至急かかりつけの先生に診てもらってください。早急な処置が必要です。24時間以内であれば手術をしないで高圧浣腸などで治ります。
生後一週間以内で嘔吐を主症状とするものでは、横隔膜ヘルニア、腸回転異常症、胎便性イレウス、先天性小腸閉鎖症などがあります。この場合にも胆汁を混じた吐物がみられ、烈しい嘔吐が起こります。早急な処置を要します。
前に述べた幽門狭窄症は生後2〜3週で始まりますが、噴水状嘔吐が特徴的な症状です。これらの消化管通過障害を起こしている場合は、赤ちゃんの体重増加もみられず脱水症状も加わって危険な状態になりますのでいずれも早急な対策をとらなければなりません。
診断には腹部のレントゲン検査など色々な検査が必要になります。勿論入院することになります。
乳児の消化管感染症ではロタウイルスその他による乳児嘔吐下痢症があります。冬になると多発してまいります。典型的なものは烈しい嘔吐で発症し、そのあと白色下痢便が起こってまいります。脱水症状を起こし入院して点滴による輸液や食事療法が行われます。乳幼児が初診時に外来で点滴を受けた場合2000円位の医療費がかかります。
そのほか髄膜炎、脳炎などでも嘔吐が重要な症状となります。発熱、痙攣、意識障害もみられたりしますので直ちに入院加療が必要となります。
(1999.3.26)