県民のための健康増進情報/耳鼻咽喉科領域

 

 

のどの痛み

 

 

 口を大きく開けるとのどがみえます。また首の真ん中、のど仏の所ものどです。それに鼻の奥にものどがあります。 のどと一口に言っても意外と広いのです。耳鼻咽喉科の咽(イン)と喉(コウ)とは、両方とものどと言う意味ですが、このように医学では鼻の奥から食道の入り口までを咽(咽頭)、気管の入り口の部分を喉(喉頭)とし、のどを二つに分けて区別しています。

 のどの痛みは日常しばしば起きるありふれた症状の一つで、自然治癒することも多いため、ややもすれば安易に画一的に対処されがちです。しかし下記の様に、いつまでも様子をみていてはいけない病気もありますので注意が必要です。

 

 のどの痛みの原因になる、咽頭と喉頭の注意すべき病気を部位別に説明します。

 

1)咽頭の上部は鼻の奥の部分です。ここにはウイルス感染による病気が多く、鼻の奥やのどの上の所の痛みになりますが、むしろ頭の痛みになる傾向があります。この部はのどの中でも腫瘍の発生しやすい場所で、軽度の痛みでも持続する場合は検査が必要です。

 小児ではこの部にあるアデノイドが腫れるため、鼻が奥で塞がれることになり、鼻閉とイビキが特徴で、5日間程の高熱が続くことが多いようです。脱水症を合併しないよう注意しましょう。

2)咽頭の中部の病気の代表は扁桃炎です。のみこむ時の痛み(嚥下痛)が主症状です。いろいろなタイプの扁桃炎がありますが、特に注意すべきは溶連菌感染症による扁桃炎です。この菌は強い病原菌で、放置すると腎炎などの合併症がおこることがあり、クシャミや咳で周囲の人に感染してしまいます。5分程で分かる検査法が普及していますので簡単に診断が出来ます。溶連菌感染の場合は、3日間は自宅安静、10日位しっかり抗生剤を服薬し、後日に尿検査が必要です。
 扁桃炎はひどくなると扁桃の周囲に炎症が拡がり、扁桃周囲炎さらに扁桃周囲膿瘍という状態になります。このようになると、物をのみこむことが出来ない位に痛みが強くなります。また、痛みは耳に放散するため耳痛のようになることもあります。穿刺または切開による排膿を行い、抗生剤の点滴などが必要となります。入院となることもあります。

3)咽頭の下部の病気では嚥下痛のほか、異物感のような、のどの異常感になります。咽頭下部から食道にかけての病気を考えて検査をします。炎症のほか腫瘍がみつかることもあります。軽度であっても、いつまでも続く嚥下痛やのどの異常感は原因をしらべる必要があります。

4)喉頭では、急性喉頭蓋炎という怖い病気があります。炎症による腫れが気管の入り口を塞ぎ、放置すると呼吸困難となり窒息する危険があります。この病気ものどの痛み、嚥下痛ではじまります、さらに呼吸が苦しくなってくる時は、急に事態が進行することがありますので、夜間でも救急センター等を受診すべきです。

 

 以上が気を付けてほしい主な病気です。また、下記の注意点もお読み下さい。

 

1)熱がないから良いと思ってはいけません。ひどい炎症でも熱が出ないことがよくあります。

2)小児はのどが痛いと言いません。大人の様な痛みは感じないのです。のどが腫れてくると、イビキが大きくなり、さらに睡眠時に呼吸がリズムが乱れ、さらに呼吸が十秒位止まることがあります。また、こもった様な声になります。

3)鼻づまりのため口を開けて寝ていると、目覚めた時のどの粘膜がカラカラに乾燥して、朝にのどが痛いということになります。また逆に鼻の中が開き過ぎる病気があります。そのような人の場合、乾いた空気が鼻を素通りしてのどに届き、のどの粘膜が乾燥して荒れてしまいます。この様に鼻の影響で、のどが悪くなってしまうこともあります。実際、鼻づまりのため常に口呼吸をしている子供は、扁桃に炎症が起きやすいようです。

 

 のどにもこの様にいろいろな病気がおこります。耳鼻科医は耳と鼻だけでなく、のどの咽と喉の隅々までも診察しています。