膝の「ひざを打つ」話           総合花巻病院 整形外科 佐藤正俊

 立ち上がりの時や、階段の昇降時に痛みを感じる原因として、膝関節の軟骨の変形による変形性膝関節症が考えられます。膝のレントゲンを撮ると、関節の隙間が狭くなっていたり、関節周囲に骨棘(こつきょく)といって骨が飛び出していることもあります。なかには膝に水が溜まっていて、20ml位抜ける場合もあります。
 一般的に言われる「水」の正体は、関節を保護するための関節液のことで、炎症によってこの関節液が関節内に溜まってしまうのです。抜くとクセになるのでは、とよくたずねられますが、これは膝に負担がかかることによって生じるもので、抜かないと関節の圧迫感がとれません。
 関節の痛みが強い場合は、痛み止めの薬や湿布、関節の滑りを良くする注射をします。さらに歩けないほど痛みが強くなってしまうと、膝を人工の関節に変える手術を行うこともあります。そうならないためにも、日常生活で膝への負担を減らすよう正座を避けたり、杖を使用するなど心掛け、さらに筋力強化のための運動も良いでしょう。
 1歳頃より歩き始め、それ以来ずっと今日まで負担をかけてきた膝を、これからも大事に使っていきましょう。