緑内障のウソとホント                   花巻中央眼科  高橋和博

 
 みなさん、「緑内障」という病名をご存じですか?昨年、美智子妃の緑内障治療がマスコミに報道されて注目されたためか、「自覚症状がなく、失明する病気である」ことを心配して私の所にも多くの方が相談にいらっしゃいます。日本人の30人に1人は緑内障であると言われていますが、その割に病態についてはあまり知られていないようです。
 そこで今回は、緑内障のウソとホントについてのお話です。
 緑内障は、眼圧(眼球の弾力)が高く、血液の循環が悪いために眼の神経が傷害される病気で、進行するとその部分に一致して視野が狭くなります。患者さんは、眼圧の上昇や視野の変化に自分ではほとんど気づかず、集団検診や人間ドックで初めて指摘されて、眼科を受診します。
 ここ数年の緑内障の診断、治療の進歩は目ざましく、最新のコンピューター視野計は初期変化を鋭敏に検出し、新しい薬も多数開発され、手術成績も向上しています。特殊な例を除けば進行が遅い疾患であり、自分にあった治療法を見つける時間的余裕は十分にあります。検診を受け、眼科専門医に早期診断されれば失明にいたる例はそう多くありません。
 したがって、「自覚症状がない」=ホント、「失明する」=ウソ(発見が遅れるとホント)、となりますね。