高コレステロール血症について   湯本診療所 佐藤 全紀

高コレステロール血症とは一般的に血清総コレステロール値が220mg/dlを指しますが、食生活の欧米化にともなって、近年では日本の成人の3人から4人に1人が高コレステロール血症だと言われています。
 以前コレステロール高値と言われていた欧米では1970年代に大規模長期間の疫学研究が行われ、血清総コレステロール値が220mg/dlになると急激に冠動脈疾患が増える事が明らかにされています。その結果、アメリカでは国民のコレステロール値を低下させる国家的プロジェクトが行われ、一方日本では、逆に1960年頃から国民の平均総コレステロール値が徐々に上昇した結果、1990年頃にはアメリカと日本のコレステロール値はほぼ同じレベルになっています。
 近年日本でも大規模な疫学研究の成果が発表され、冠動脈疾患の危険因子として総コレステロール値よりLDL−コレステロール(肝臓から身体の各組織にコレステロールを運搬する働きをしています)の値の方が重要視されるようになっています。
 2008年度から始まる特定検診でもLDL‐コレステロール値が測定されるようになります。この機会にご自分のコレステロール値に注目してみてはいかがでしょうか。