C型肝炎と鉄     岩手医大付属花巻温泉病院 内科 佐藤慎一郎 

 鉄は血液中の赤血球の材料で、鉄不足で貧血になることはご存知のことと思います。不足に備えて鉄は肝臓に蓄えられています。
 C型肝炎の人は、この貯蓄分の鉄が必要以上に多くなっていて、その過剰な鉄が肝細胞を傷害する一つの原因となっていることがわかってきました。このためC型肝炎の治療として血液を抜く「瀉血(しゃけつ)療法」という治療が行われるようになってきています。血液を抜くと新しい赤血球が必要になり、肝臓中の鉄が使われて減るからです。具体的には一度に200〜400mlの血液を献血と同じような要領で採り、これを肝臓の鉄が少なくなるまで二週間に一度のペースで繰り返し行います。瀉血療法でC型肝炎を完治させることはできませんが、多くの人の肝機能数値が改善しています。
 食べ物から摂る鉄も少なめにしたほうが良いと思います。レバー、ひじき、ほうれん草などが鉄の多い食品ですが、そのほかにも鉄を含む食物は数多くあります。鉄を含む食物を全く食べないのは無理ですし、その必要もありません。ただし、C型肝炎の人が鉄を多く摂ろうとすることは間違いです。鉄は体に必要不可欠ですが、C型肝炎の方にとっては必要最低限の量で良いということです。