便秘性もしくは便秘症            熊谷内科胃腸科医院 熊谷和久

便秘の定義は何でしょうか?便秘とは「排便程度の低下、または不完全な状態」で、具体的な回数や一日の量は決まっていません。一日に一回の排便があっても、便秘症の場合もあります。排便が順調に行われない傾向があれば「便秘性」ですが、何らかの症状をともなっていれば(腹痛など)治療の対象となり、「便秘症」となります。特に慢性的な機能性便秘を常習性便秘症といいます。
 さて、便通には腸内細菌が大きく関わっていて、ビフィズス菌に代表される善玉菌群と、大腸菌に代表される悪玉菌群に分けられます。善玉菌群優位で乳酸を作り、腸管内を酸性に保つことで体外からの細菌感染を予防しています。
 悪玉菌群が優位になると免疫力が低下したり、発ガンの危険が増えることがわかっています。また、便秘による免疫力の低下によりアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息(ぜんそく)などのアレルギー疾患が悪化することもわかってきました。
 したがって、たかが便秘とあなどることはできません。運動不足の解消や、食物繊維を摂取して、生活習慣を変えても便通が改善しない場合は医師の診察をおすすめします。