老人の物忘れ                   ゆうきクリニック 小木田勇輝


  老人の物忘れ(記憶障害)は、良性と悪性に分類されます。

良性
悪性

病的有無

加齢による 病的

障害内容

記銘力低下・一部想起障害 記憶全体の障害

病識

物忘れの自覚有り 物忘れの自覚なし

見当識

日時・場所はわかる 日時・場所がわからない

作話

ない ある

生活

日常生活に支障がない 日常生活に支障がある

学習

学習能力はある 学習能力がない

進行

徐々に進行 進行が速い

 表を見てわかるように、老人の物忘れは一概には痴ほう(ぼけ)といい切れないのです。高齢者の物忘れの大半は加齢によるもので、病的なものは5%未満です。その病的なものは脳変性疾患、血管障害、頭がい内占拠性疾患、外傷、感染症、中毒性障害、代謝障害、内分泌障害、酸素欠乏性痴ほう、ビタミン欠乏性疾患、またはてんかんなどが考えられています。その診断手順としては、家族からの病歴聴取、患者本人の診察(神経学的診察)と簡単な心理検査や臨床検査(血液検査、尿検査、心電図、頭部CTなど)です。
 予防としては具体的に、潜在的疾患の進行防止、早期発見・早期治療・リハビリテーション、疾患の進行が難しいものは日常生活の適応を図ることなどです。