尿糖陽性は糖尿病?              総合花巻病院 第三内科 高田恵一

 
 みなさんは一年に一度、健康診断を受けているでしょうか。慢性腎不全では最終的に透析治療に移行するわけですが、その原因として二年前ついに糖尿病性腎症が第一位となり、特に糖尿病の初期治療の重要性がいわれています。
 そこで今回は、尿糖について書きたいと思います。尿糖陽性になると即、糖尿病と勘違いされがちですが実はそうではないのです。というのは、腎臓という臓器は糖の再吸収能力が決まっており、ある一定以上の糖分は体外に排泄してしまうのです。(さらに詳述すれば、糸球体の中に近位尿細管の刷子縁膜という場所があり、ここでナトリウムイオンの電気勾配を利用してブドウ糖が濃度勾配に逆らって輸送、再吸収されるのです。)
 一般的には血糖値で200mg/dlに近づいた場合、尿糖陽性になるといわれています。多くの場合、食事摂取後に健診を受ける方が多いと思います。そのため、食事の影響を受ける場合も少なくはないのです。
 とはいえ、糖尿病を否定する材料にはなりません。最終的に自分の体を守るのは自分自身ということをお忘れなく。以上の理由から尿糖再検が来たときは、朝食をとらずに医療機関を受診しましょう。